書籍
ジム・トンプスン/三川基好 訳/扶桑社 ISBN:4594028632/\1429冒頭から丁重な文体と冷徹なリアリズム指向によってやんわりと従来の道徳観念を否定し、その中で捻れた悪意を主人公に炸裂させる物語。主人公ニックは、人口1280人の田舎町を舞台に悪徳と殺戮…
ジョン・ル・カレ/村上博基 訳/ハヤカワ文庫NV ISBN:4150409161/900円 デタントとそれに続く冷戦の完全崩壊以後、行き場所を失ったと言われるスパイたち。だが東西国家間のイデオロギー対決が表面上なくなった代わりに、過去八十年以上棚上げにされて…
ジョー・ホールドマン/中原尚哉 訳/創元SF文庫 ISBN:4488712010/920円 神経接続による遠隔歩兵戦闘体(RICU)、通称ソルジャーボーイでの戦闘が日常化した西暦ニ〇四三年。ナノ鍛造機の出現によって完全な福祉国家を実現した先進国とそうでない国の格差…
インナースペース運動以来、一貫して現代社会の持つ病理を隠喩化して描いてきたバラード。その為か彼の作風は必然的に重苦しくなり、どの作品も大抵結末に至って主人公(またはそれに近い人々か舞台となる場所)の破滅が訪れる。この最新作もそのパターンに…
暇潰しに『負け犬の遠吠え』酒井順子 著(講談社/ISBN: 4062121182)を買って読んでみる。世間の風評では賛否両論あるようだが、極めて楽しく読めた一冊だった。この手の本は基本的に真面目に読まず、さらりと流す感じで「そういうこともあるかもね」程度に…